NFTと著作権 | 二次販売の可否や取引時の注意点を解説
NFTの将来性公開日 : 2021年12月30日 | [更新日] 2024年12月01日
NFTと著作権に関するトラブルが多発しています。NFTと著作権の関係について理解していなければ、予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
しかし、NFT自体の歴史が浅く根拠になる判例も少ないことから、NFTアート売買における著作権は分かりづらいです。
そこで本記事では、NFTアートの購入や出品を考えている方に向けて、NFTと著作権の関係性や取引時の注意点を分かりやすく解説します。
目次
そもそも著作権とは
著作権とは、自分の考えや気持ちを作品としたクリエイターに与えられる権利であり、クリエイターの利益を守るためにあります。著作権の内容は、大きく以下2つに分けられます。
著作権の内容 | 概要 | 具体例 |
著作権人格者 | 著作物を通して表現された著作者の人格を守る | ・著作者の了解なしに作品を公表するのを禁止 ・著作者の了解なしに作品を変更するのを禁止 |
財産権 | 著作者が著作物の利用を許可して、その使用料を受け取ることができる権利 | ・複製権 ・上映権 ・展示権 ・譲渡権 |
著作権を理解するうえで重要なポイントは、著作権は形のない「表現」を守るための権利ということです。
実態のある絵画や彫刻などの美術作品などは、「所有権」の対象となります。
この点を踏まえて、NFTと著作権の関係について考えていきましょう。
NFTと著作権
NFTアートは、大きく以下2種類に分けられます。
- デジタルアートをNFT化したもの
- 絵画や写真などの物理的作品をデジタルデータ化したもの
どちらの場合においても、NFTは実体を持たないため、所有権の対象にはなりません。
また、著作権は著作権者(クリエイター)の利益を守る権利という事実を踏まえると、NFT売買でNFTを所有しても著作権と所有権は得られない点には注意が必要です。
そのため、取引でNFTアートを所有したとしても、所有者は著作権者の許可がなければ複製や展示などはできません。
それでは、NFT売買で所有者は何を得られるのでしょうか。所有者が得られるのは、特定のデジタルデータを保有している記録もしくは証明です。
あくまでもデジタルデータの所有であり、作品自体を独り占めすることはできません。
例えば、Twitter創業者ジャック・ドーシーのNFTツイートが高額で売買されましたが、今でも対象のツイートは誰でも見られます。
それはNFTツイートの購入者が得たのは、ジャック・ドーシー氏がNFT化した、対象ツイートデータを保有している記録であり、ツイート自体は所有していないからです。
過去に起きたNFTアートの著作権問題
NFTの問題の一つに、作品の制作者ではなくとも、デジタルデータをNFT化して出品できるというものがあります。
そのため、多くのアーティストが自身の作品が無許可で盗用され、NFTとして出品されていると報告しているのです。
このNFTの著作権問題が顕著にみられるのがTwitterです。
あるTwitterボットは人気のツイートを次々とNFT化し、NFTコミュニティに大きな衝撃を与えました。
他者による作品のNFT化を解決するためには、各プラットフォームの対応や法的インフラ整備が必要です。
出品者は盗作されたNFTアートを購入しないためにも、購入前には出品者の身元を確認するようにしましょう。
万が一、自身の作品が無許可でNFT化されていた場合は、SNSなどにアップロードしたことを示すスクリーンショットの撮影をし、プラットフォームへ違反報告してください。
NFT売買を行う際に注意すべきこと
NFTと著作権についての理解を深めたところで、購入者と出品者別にNFT売買での注意点を解説します。トラブルを防ぐためにも、しっかりと注意点を確認しておきましょう。
購入者
NFTアートを購入したとしても、NFTアートの所有権や著作権は得られません。著作権者の許可がない限り、SNSへのアイコン設定や複製などはできないため、事前に利用範囲を確認しておきましょう。
利用範囲の確認は、NFT売買をするマーケットプレイスの利用規約を見て行います。事前に利用範囲を確認することで、購入後のトラブルを防げます。
また、NFTアートの二次販売を考えている方は、取引したマーケットプレイス以外での販売も可能なのかどうか確認しておくといいでしょう。
出品者
NFTアートを出品する場合、大前提として他人の著作物を無断でNFT化して出品してはいけません。
権利侵害品の出品は各マーケットプレイスが禁じています。万が一、他人の著作物をNFTとして出品すると、著作権の侵害に該当します。
注意が必要なのは、複数人で制作した作品をNFTとして販売する場合です。例えば、共同制作したイラストをNFTとして出品するなら、他の権利者から許可を得る必要があります。
著作権のトラブルを防ぐためにも、基本的にはオリジナル作品をNFT化するのが賢明です。
また、NFT作品の利用範囲を制限したい場合は、出品するマーケットプレイスの利用規約の確認をしましょう。
NFTと著作権のケーススタディ
NFTと著作権でよく混乱する以下2つのケースについて解説します。
- 購入したNFTアートを第三者が不正利用
- 購入者がNFTアートを二次出品
この2つのケースはトラブルになる傾向にあるため、しっかりと確認しておきましょう。
購入したNFTアートを第三者が不正利用
購入したNFTアートを第三者が不正利用する可能性はあります。例えば、SNSのアイコンに購入したNFTアートを無断使用されるなどが考えられます。
第三者が購入したNFTアートを無許可で利用したとしても、購入者には著作権がないため、損害賠償請求などは行えません。
購入者が二次出品
マーケットプレイスによっては、購入者のNFT二次販売が許可されています。多くのマーケットプレイスでは、二次販売が行われるたびに、取引額の数パーセントがクリエイターに還元される仕組みを採用しています。
マーケットプレイスが二次販売を許可していれば、購入者が無許可で二次販売をしたとしても、著作権侵害にはなりません。
二次販売されるのが嫌な場合は、事前にマーケットプレイスの利用規約を確認し、二次販売を許可していないマーケットプレイスで出品するようにしましょう。
まとめ:著作権に気をつけてNFTを楽しみましょう
NFTの取引を行ったとしても、著作権を保有するのはNFTの制作者であり、購入者ではありません。NFT購入で得られるのは、特定のデジタルデータを保有する証明です。
著作権に関するトラブルを防ぐためにも、購入者と出品者共にマーケットプレイスの利用規約を事前に確認し、取引後の利用範囲を確認しましょう。
ぜひ本記事で紹介したNFTと著作権の関係性についておさえ、安全にNFTを楽しんでください。
NFT Nowでは、NFTに関するニュースや情報を分かりやすく解説しています。ぜひ他の記事もご参照ください。
WRITER
NFT Now編集担当者です。誰でも簡単にNFTが売れる・買えるようにするために、どこよりもわかりやすい情報発信をしています。